シューマン 自筆譜アートフレーム:「楽しき農夫」 Op. 68, Nr. 10
¥14,630
Schumann, Robert (1810–1856)
Album für die Jugend, Op. 68, Nr. 10
Der fröhliche Landmann, von der Arbeit zurückkehrend
〜1分にも満たない短い曲に込められた、シューマンの温かいまなざし〜
この自筆譜を見て「あの曲だ!」とピンとこられた方は、きっとピアノを習った経験があるか、あるいはお子さんを教えていらっしゃるピアノの先生でしょう。
そう、そのとおり。シューマンの代表的な小品『楽しき農夫』です。
この曲の正式なタイトルは
Der fröhliche Landmann, von der Arbeit zurückkehrend。
日本語にすると「楽しき農夫、仕事の帰り道」という意味になります。
単なる「楽しき農夫」ではなく、「今まさに仕事から帰っている途中の農夫」という、具体的な情景がタイトルに付けられています。日本で一般的に呼ばれているタイトルは、実は省略したかたちだったのですね。
この曲が収められているのは、シューマンが1848年に作曲し、翌1849年に出版した『子供のためのアルバム』(Album für die Jugend, Op. 68)。
この作品の背景には、妻クララとシューマン夫妻の温かな家族愛が深く関わっています。
当時、長女マリーがピアノを習い始めたことがきっかけの一つとなり、シューマンは
「子どもたちのため、そして大人にも美しいと感じてもらえる小曲集を」と考えました。
クララもその意図に賛同し、この作品は夫妻の教育観と音楽への愛情が込められた特別な曲集となったのです。
「楽しき農夫」の自筆譜を眺めると、シューマンの几帳面で誠実な筆致とともに、音楽への情熱が感じられます。
楽譜には「Frisch und munter」(生き生きと、快活に)と記され、曲の構成は簡潔ながらも躍動感にあふれています。
この曲を聴くと、F-Dur(ヘ長調)の明るく穏やかな響きの中、一日の仕事を終えた農夫が、力強い足取りで家路を急ぐ様子が目に浮かぶようです。規則正しく、ときに弾むようなリズムは、もしかしたら疲労を忘れて口笛を吹きながら歩く農夫の足音、あるいは、農具を乗せた馬車の車輪の音を表現しているのかもしれません。
シューマンはこの曲集のすべての小品に物語性のあるタイトルを添えました。
それは、当時の子どもたちに「音符を弾くだけでなく、感情や情景を表現する喜びを知ってほしい」という、教育者としての温かな願いの表れでもあります。
もしこの曲の題名が単に「Allegro in F-Dur(ヘ長調のアレグロ)」だったとしたら、
私たちはこれほどまでに豊かなイメージを抱くことはなかったかもしれません。
「仕事から帰る」という一言が加わることで、農夫の笑顔や、家で待つ家族の温もり、
夕食の香りまでも想像が広がっていきます。
この短い曲を通して、19世紀のドイツの穏やかな家庭の光景を、そっと覗かせてもらっているかのようです。
「楽しき農夫」は、ピアノの技術を磨くための練習曲であると同時に、音楽を通して他者の感情や世界を想像する力を育ててくれる、シューマンからの小さくも大きな贈り物のように思えてきます。
●プリントタイプ/高精細ジークレープリント
●出力紙/ドイツ製ハーネミューレ ファイン・アート紙(アシッドフリー)
●額縁/UVカットアクリルガラス、中性紙マット、吊元金具(額側)、吊紐、外箱
●その他の仕様については、下記詳細をご確認ください。
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https://apollon.kooki-museum.com
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また、本作品には裏面の楽譜が透けて見える部分がございます。これは所蔵先のスキャニングデータに由来するもので、実際の自筆譜原本において裏写りが生じているものと考えられます。当店では可能な限り忠実に再現しておりますので、何卒ご理解・ご承知おきくださいますようお願い申し上げます。

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▼【Reference】
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