ショパン 自筆譜アートフレーム:前奏曲 第20番 ハ短調 Prelude Op. 28 No. 20 通称:Funeral(葬送前奏曲)
¥14,630
Chopin, Frédéric (1810-1849)
Prelude in C minor, Op. 28 No. 20
〜僅か12小節余りに宿る陰影の余韻〜
ショパンの《24の前奏曲 作品28》は、1838年から翌1839年の冬、ジョルジュ・サンドと共にスペイン・マヨルカ島で過ごした日々に生まれました。病や孤独、厳しい気候の中で書き進められたこの連作は、すべての長調・短調を網羅する壮大な構想のもとに作曲されたと考えられています。バッハの《平均律クラヴィーア曲集》から影響を受けたともいわれますが、ショパンの前奏曲は形式的な緻密さよりも瞬間ごとの情感や直感を重視しており、各曲には小さな詩のような、それぞれの表情が感じられます。
この第20番ハ短調の前奏曲は、とりわけ簡潔で、現行の刊行譜(Mikuli刊など)ではわずか13小節しかありません。しかし、短さに反して重厚な和音の歩みは深い陰影を刻み、聴く者に強烈な印象を与えます。そのため、後世には通称「葬送前奏曲(Funeral、Funeral Prelude)」などとも呼ばれることも。ショパン自身がその名を意図したわけではありませんが、低音の歩みや沈んだ響きは静かな葬列を想起させ、そのイメージが長く人々の記憶に結びついてきたようです。演奏家にとっても、短い曲の中で豊かな表現の幅を探ることができるため、愛奏されてきた珠玉の小品です。
この前奏曲は当初、さらに短い形(およそ8小節)で構想されていたと伝えられています。出版に際して「短すぎる」との意見があり、終結部に4小節が加えられて12小節となり、最終的には13小節として印刷に至ったと一般的に研究者の間では考えられているようです。その経緯をうかがわせるように、自筆譜の右下には次のようなフランス語の書き込みがあります。
「編集者への注(Rochechouart 通りの):M氏への小さな譲歩。ときには彼の判断が正しいこともある。」
この一文は、出版に関わった「匿名の人物」によるものとする見解もありますが、ショパン自身の筆によるものか、あるいは出版に関わった人物の手によるものかは確定していません。それでも、作品の終結をめぐってショパンと出版社の間に何らかのやり取りがあったこと、その痕跡が楽譜に刻まれていることは明らかです。
わずか12小節余りの小品ではありますが、この前奏曲には音楽の響きだけでなく、創作や出版をめぐる人間的な葛藤の痕跡も刻まれています。耳を傾けると、音楽の背後に潜む歴史や対話の余韻をも感じ取ることができそうです。
●プリントタイプ/高精細ジークレープリント
●出力紙/ドイツ製ハーネミューレ ファイン・アート紙(アシッドフリー)
●額縁/UVカットアクリルガラス、中性紙マット、吊元金具(額側)、吊紐、外箱
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▼【Reference】
YouTube Channel:Ashish Xiangyi Kumar